限定正社員について

内閣府の経済社会構造に関する有識者会議(成長のための人的資源活用検討専門チーム)は、「成長のための人的資源の活用の今後の方向性について」という報告書を取りまとめました。

報告書の中では、以下のような事項が、人と企業がともに長期的に発展していくための、我が国にふさわしい姿であるということが示されています。

1.正社員としての雇用の安定性を一定程度確保しつつ、ワークライフバランスが確保できるような、残業なしの働き方や短時間正社員、職種限定正社員など、多元的な無期雇用形態を個人の選択により可能にすること

2.職業能力をレベル毎に的確に評価でき、それが転職した場合にも賃金に反映されるような企業横断的な職業能力評価制度の整備などを通じた専門能力活用型のジョブ型労働市場の整備を図ること

3.変化に対応して新しい技術・技能を常に身につけることができる効果的な学び直しを行うための良質な教育訓練機会の確保を図ること

4.雇用制度の在り方を考えていく際には関係者の納得感が重要であること

従来、我が国においては残業・転勤・職種転換などがすべて可能な正社員以外は、パートタイマーなどの非正規労働者となってしまう傾向が強く、今回の報告書では、1.にあるように短時間正社員や職種限定正社員といった新たな雇用区分の創設を打ち出しています。

極端に二極化した雇用構造の現状を是正し、労働力市場を健全なものとするため、非正規雇用から正規雇用への転換を促す仕組みづくりが重要です。

安心できる働き方の導入を促す一策として、働き方に限定のない正社員と限定正社員を併用する、多様な正社員の普及を打ち出しています。

限定正社員とは、正規雇用と非正規雇用の中間的な位置づけとして、雇用の期間は定めず、担当する職務内容、勤務地、労働時間や労働日数などの働き方に関して、一定の制約を定めた労働契約を締結する従業員のことです。

地域限定正社員や短時間正社員などがあります。

限定正社員は、不安定な非正規雇用に従事している労働者が、安定的な無期雇用へステップアップするための受け皿として、又より安定した処遇を得られると期待されています。
又労働者の働き方の多様化、育児や介護、そして健康問題など様々な理由で勤務にあたって一定の制約があり、正社員として採用されないことにより、能力発揮が十分にできていない労働者の継続勤務を支える上でもメリットがあるとみられています。

ただ、正社員より賃金水準が低いことが多く、正社員からの切り替えは待遇の引き下げが懸念されます。

現在「限定正社員」の解雇ルールの制定が検討されています。

まだ内容がはっきりと決まっているわけではありませんが、限定の対象となる職務や勤務地(事業所)が廃止や閉鎖となった場合、それを事由とした解雇を認めるか否かが議論の的となっています。

政府は、限定正社員の普及を目指しており、特定の職種や勤務地がなくなり人員削減が必要になった場合を想定して、解雇ルールを定め、企業に限定正社員の導入を促すのが狙いです。

しかし、雇用の不安定化に繋がることも懸念され、労働組合などからの反発も予想されます。

限定正社員の解雇は、勤務地や職種の廃止など、経営上のやむを得ない事情がある場合ですが、労働者や労働組合の納得を得られるような説明や協議が必要とされ、配置転換などで雇用を維持できれば、解雇を回避することを検討する必要があります。

産業界は労働力流動化のためとして、お金を払うことを条件に解雇が法律上問題ないと定める金銭解決ルールの導入など、解雇規制を緩和して正社員を解雇しやすいような制度改革を求めています。

日本では、一度離職するとあらためて正社員になるチャンスは乏しく、再チャレンジへの不安を抱える人は、たとえ不本意でも配転などを断りにくい状況にあります。

改革案には、運用次第で正社員の限定正社員化だけが進み、更に解雇へとつながりかねないという事も心配されています。

そうなれば正規と非正規との格差解消どころか、正社員間での新たな格差も生じるかもしれません。

あくまで非正規から正社員への登用が増えるような仕組みとなる事が大切です。

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