介護事業所の「質の評価に関する調査研究事業」

今年、3月27日の介護給付費分科会にて、介護保険サービスにおける質の評価に関する調査研究事業についての資料が発表されました。

これからますます費用対効果を高めていくために、コストパフォーマンスが高いサービスにもっとお金をつぎ込んでいくという議論がります。

では、そういうようなサービスを提供している事業所かどうかを、どうやって見極めていくのか、ということは、今非常に大きなテーマとなっております。

2006年(平成18年)以降、こういった議論がされてきているのです。

医療の考え方を参考に活用されてきてはおりますが、なかなか介護では難しいというところです。

産業競争力会議の医療介護分科会において、質の評価高い質のサービスを提供している事業者に対して、インセンティブを付ける仕組みをどのように実現していくのか、という指標づくりが重要だといわれております。

今後、介護分野において、こういった取り組みが活発化していくだろうと思われます。

という訳とで現状の動きについて確認しておきたいと思います。


<発表された資料からの抜粋>

1.調査研究の背景と目的

介護保険サービスの質の評価については、平成18年度から、社会保障審議会介護給付費分科会における今後の課題とされており、平成21年度には検討委員会を設置し、検討が行われたところである。
また、日本経済再生本部の産業競争力会議でも同様に指摘されている。

我が国における介護サービスの質の評価の取組としては、以下のような取組がなされているが、アウトカム評価については、体系的な実施はなされていない。

また、プロセス・アウトカム情報の一部を収集する仕組みとしては、介護保険総合DB(要介護認定情報及び介護給付費請求情報)が存在している。
なお、我が国におけるアウトカム評価については第81回介護給付費分科会において以下の整理がなされている。
-利用者の状態像の改善に取り組む質の高い事業所にインセンティブを付与することは重要な取り組み。
-直接的にアウトカム評価を行うことは問題点が多いが間接的に評価する方策は考えられる(アウトカム指標と関連のあるストラクチャー指標、プロセス指標等を評価する方法、pay for reporting の考え方を取り入れる方法)
-評価方法の検討に向けては事業所・施設にとって負担とならない仕組みによって、さらなるデータ収集が必要。


無題

アウトカム評価とは結果というようなものです。

ここに来たことによってこんなに元気なりました。

そういったことを裏付ける形としてそのエビデンスとして評価をするというものです。

一番重要なことはアウトカム評価については、非常に重要と思われているものの、直接アウトカム評価をすることには問題点が多い、難しいと言われていることです。

シンプルに言ってしまうと介護の仕事というのは1対応1対応ということです。

例えば、通所介護に行き、そしてそのデイサービスが品質が高いケアを提供している、ここに来ればご利用者がどんどん元気になる。

そういったことで、デイサービスがパフォーマンスを発揮してしっかりしたサービスを提供しているということが分かれば一番いいのですが、介護というのはご存じのとおり、チームプレ-です。

すなわち、デイサービスに通って、また週に1回は他のデイにも通い、もしくは訪問介護の方々もサポートしている、もしくはケアマネージャーがしっかりとケアマネジメントしている、そして一生懸命家族も頑張っている。

そういう様々な沢山の方々のサポートがあってこの方が元気になった、ということは総合的には言えますが、この様々に関わっている方々に対して、どのサービスのどの会社の力がすぐれているからこの人が元気になったといえるのか、という問題については、なかなかわかりにくいと思うのです。

そういったことを考えた場合、特定したサービス事業者にインセンティブをつける仕組みが作れない、というのが課題となっているわけです。

これが、例えば特別養護老人ホームとか、小規模多機能のような、一つのサービスですべてが完結するものであるならば、十分にそういった評価をすること可能であるかもしれません。

しかし、複数のサービスの方々からサービスを提供されている方に対してはなかなか難しい、というところからアウトカム評価は問題点が多い、しかし、間接的に評価する方法は考えられると書いてあります。

すなわち、結果として、ここの会社の力だと特定することは難しいけれども、ここはこういう努力をしている、ここはこういう体制を敷いている、ここはこういった運営方法をしている。

それが結果的に質の高いそういったサービスを生み出している。

そして、結果にたどり着くためのプロセスに、評価軸を持っていくということはできるのではないだろうかと書かれております。


人事評価のような、成果と勤務態度といったことによってプロセスが継続され、その結果、成果に繋がるといったことと、まさに同じような考え方が使われようとしております。

この資料では、アウトカム指標と関連のあるストラクチャー指標(すなわち構造)とプロセス指標(すなわち過程)によって評価する方法、もしくはpay for reportingを採り入れる方法、とあります。

pay for reportingとはレポートとすることによってお金を払うという考え方です。

いわゆる情報公開とか、報告をしっかりするということに対してお金を払うということです。

これとよく対比して言われる概念が、質に対してお金を払うということにたいしてのpay for performanceです。

pay for reportingとpay for performanceをどのように組み合わせていくのかということがこれからの課題となっております。


質の評価の取り組み、例えば、介護サービス施設・事業所の指定基準等については、ストラクチャー評価については、人員とか設備に関する基準とかというものがあります。

これらをクリアすることによって一定の品質を保っていると言えるわけです。

またプロセス評価としては、運営に関する基準というものがあったりします。

そして介護サービス施設事業所監査について言えば、人員設備及び運営基準等の指定基準違反の監査行政指導等によって、その会社の組織運営上の構造上の問題が判断できるだろう、もしくは良い部分が判断できるだろうと言えます。

こういうようなケアを提供しております、このようなしっかりとした運営をしております、そういうことによって価値を確認していくということです。

介護報酬の評価としては、アウトカム評価は在宅復帰・在宅療養支援機能加算等、ストラクチャー評価は各種体制加算、プロセス評価に対してはリハビリテーションマネージメント加算もしくは個別機能訓練加算等が考えられております。


いかに質というものを評価していくのかということは、これからの介護保険部会の中でも非常に重大なポイントとなってきております。

質が高い事業所に結果として人が集まる、そういう結果を提供できる事業所になろう、とのインセンティブに繋がるような評価指標をぜひ作ってもらいたいなと思っております。

しかし、どのように展開していくのかまだまだ現状では見えておりません。

ともかくストラクチャー指標、プロセス指標、アウトカム指標との三つの切り口にわかれておりますよということです。

今回の調査研究事業においては老人保健施設、通所介護、居宅介護支援を念頭においております。

特に通所介護は、ある事業者の取り組みが評価されていて、その取り組みをもっと分解して仕組みのベースにして行こうではないかという動きになってきております。

それは(株)夢のみずうみ村です。

そこは今、自社で独特のシステムとしてミルクシステムというものを入れております。

ミルクというのは、MILKの四つの単語の頭文字です。

MILKとは、「人が生きていくために必要な要素」として以下の4つの成分

Movement : 動きの素(動き)
Intention : 心の動きの素(意気)
Life : 生命・活力の素(生気)
Keeping : 持続・継続の素(根気)

MILKシステムでは、これらの各要素を詳細化した上でICF(国際生活機能分類)と対応させ、さらに評価方法を独自に工夫することで、プログラム評価や個別評価に活用しており、平成26年2月からは一部の施設において評価機能を拡張した新バージョンのMILKシステムの運用を開始しております。

(株)夢のみずうみ村が開発したMILKシステムが基盤になってこれから通所介護の質の評価が考えられていく、という方向性であるということについては、認識されておいたほうがいいと思います

これからますます質の評価ということについては、かなり大きく取り上げられてくることは間違いありません。
やはり質が高い会社に対してお金を投入することによって、社会保障制度の財政の圧縮に貢献ができることは間違いない事実です。

そういう意味においてもこれから介護事業者は質の評価に目を向けていかなければなりません。

あくまでも個人的な予測ですが、これらが実現することによって、仮に、報酬が下がったとしても質の評価によって自分たちの単価が上がる、ということも十分にありえる時代になると思います。

そういう意味では非常に大きな要素だと思います。

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