介護報酬改訂に関する財務省の考え方

今回は10月8日財務省主計局から非常に衝撃的な内容の資料、社会保障①が出てきました。


現在、各省庁から平成27年度予算について財務省に概算要求が出されております。

その過程において財務省は社会保障費に関しての考え方についての資料が出されたということですので、今後の介護報酬の方向性という意味で非常に重要ではないかと思います。

その資料の中の主なポイントです。




1.介護職員処遇改善加算について


消費税により確保される財源を活用し、更なる処遇改善を図ることが必要。
その際には、現行の処遇改善加算を拡充し、介護職員の処遇が確実に改善される仕組みとすべき。


と書かれております。

この辺りに関してはまだ非常に曖昧な状況で進んでおります。

もともと処遇改善加算は平成27年3月で終了とされておりました。

本当に終了するのか、それとも新しい仕組みに置き換えられるのか、このあたりは賛否両論あってまだ決まっておりません。

処遇改善加算の拡充に関しては非常に重要な関心ではありますが、何よりも介護職員の処遇改善と確実に実施される仕組みを作らなければならないという事が大きなテーマとなっているのです。

現在の制度は本当に処遇の改善につながっているのかと思うのかという議論が常になされております。

多くの会社において処遇改善の方法は一時金です。

そうであるならば、仮にこの制度なくなってしまえば一時金はなくなってしまいます。

これで本当に処遇改善になるのかということが言われているのです。

2012年4月交付金から改善に変更される際に厚生労働省から出された案としましては、処遇改善加算で給付された金額の一定額を本給にあてがうべきではないかという議論がありました。

今回も、このような方向性で議論が再燃される可能性もあります。

処遇改善加算がなくなるのか、なくならないのかは正直言ってまだ分かりませんが、確実に介護職員の処遇が改善される仕組みを作っていく事に関しては方向性がはっきりしております。




2.介護事業の収支差率の推移


介護サービス全体の平均収支差率は+8%程度(注1)と、一般の中小企業の水準(+2~3%弱)を大幅に上回る。
介護職員の処遇改善加算などの充実を図る一方で、介護報酬基本部分に係る適正化(少なくとも中小企業並みの収支差となる▲6%程度の適正化) が必要。

→ さらに今後高齢者が増加(市場が拡大)する中で、規模の経済によるコスト低減が見込まれることも踏まえれば、収支差率を中小企業の水準より低い水準とすることも検討すべきではないか。

との本当に厳しい指摘がなされております。

要するに儲けすぎではないですかといわれているのですから。

社会のセーフティネットとなるべきと考えた場合、一般の中小企業と同じ議論をしていいのかと思ったりもします。

社会福祉法人は、役員の役員報酬はこの収支差率の損金の中に入っていないという指摘もあります。

社会福祉法人の会計基準と営利法人の会計基準とは違います。

当然営利法人の場合は役員報酬も収支差率の損金の中に入っております。

同じ土俵で議論するのであるならば、そのあたりも修正して比較するべきではないのかなと思います。

しかし今回の資料にはその辺は省かれております。

いずれにしましても、方向性としては、介護職員の処遇改善の充実を図る一方で、適正化という名のもとに介護報酬は下がっていくということです。

2012年の公開性においては、これまでより1.2%のプラスでした。

しかしここの中に約2%分あった処遇改善加算の財源を加えることによって実質はマイナス0.8%でした。

そのようなことが今回も同じようにされてくる可能性があります。

ちなみに、ここの資料では、介護報酬が1%下がった場合、国民負担は一千億円軽減されると書かれております。



3.特別養護老人ホームについて


今後は内部留保が蓄積しない水準まで介護報酬水準を適正化することが必要。
蓄積した内部留保については、地域支援事業など、現に公費や保険料を充てて実施している事業に限定して活用することが適当ではないか。

と書かれております。

要するに、現在お金持っているので、介護報酬を下げられても問題ないのではないのか。そして、持っているお金は社会貢献事業に使いなさいと指摘されている訳です。

しかし現在において、内部留保の定義は明確に上がっておりません。

しかし、方向性としては社会福祉法人に対してはかなり厳し内容になるのではないのかなと思います。特に多いのは特別養護老人ホームをやりながらデイサービスをやっている社会福祉法人は非常に多いです。

特別養護老人ホームもデイサービスも共に厳しい方向性が出ている訳ですから。

これから具体的にどのようになっていくのかはこれからの議論によりますが、その方向性を注視していくことが重要です。




4.介護老人福祉施設(多床室)について


ユニット型個室の室料については利用者負担となっている一方で、多床室(相部屋)の室料については介護保険の対象となっている。個室の利用者との公平性を確保する観点から、多床室の室料についても利用者負担を検討すべきとの指摘をされております。




5.福祉用具貸与・住宅改修について


要支援・要介護認定を受けていない者との公平性も勘案し、必要以上に高機能のものについては給付の対象外とすべきではないかと指摘をされております。


これは必要以上に高機能なものというのはどういう物なのかという議論が今後されていくのだと思います。



6.時期介護保険制度改革の課題として三つの論点



① 保険給付の範囲の見直し


要介護1では、生活援助のみの利用件数は全件数の5割を超えている状況。
要介護1の者に対する生活援助の内容を見ると、掃除の占める割合が最も多く、次に一般的な調理・配膳が多い。


と指摘されております。

これは、専門的な知識や資格がない人でもできるものではないのかということです。

そうであるならば、専門的な知識や資格がない人に任せることができるのではないのか。

そうであるならば、介護報酬から外してもいいのではないのかということを意図しております。

いわゆる家事代行の部分と訪問介護サービスの生活援助部分等を厳格に分けていきましょうということです。

給付については、ドイツ、韓国では中重度者のみが対象とされており、要支援者、要介護1、2の軽度者は対象外とされている。


と指摘されております。

こは将来的には地域支援サービスと相まって、要支援にまで移行というのも視野に入っているということです。




②在宅サービスの在り方の見直し


引き続き自由な参入を可能とするのであれば、サービスの質を確保しつつ、確実に価格競争が行われる仕組みを構築すべき。(例えば、ケアプラン作成に当たり、ケアマネジャーに価格の考慮を義務付けること等が考えられるか。)


と指摘されております。

介護報酬は固定的に決まっておりますが、必ずこの報酬でなければならないというわけではありません。

介護報酬はあくまでも最大値なのでそれを下回る設定をしても構わないということになっている前提において実際には最大値の報酬で事業を行っております。

もっと市場原理においてこその効率化をするべきではないのか、競争するべきではないのかと言われている訳です。




③負担の公平化: 利用者負担の見直しについて


一定の所得以上の者については、平成27年8月から利用者負担割合が1割から2割に引上げられますが、医療保険制度の状況も踏まえ、現役並み所得者に対する負担割合の在り方等について、更なる検討が必要ではないか。


と指摘しております。

将来的には2割負担の対象者を拡大、または三割負担というものも視野に入れて考えるべきと言っております。



7.次期介護保険制度改革に向けた論点(まとめ)


○ 予防給付の地域支援事業への移行状況や生活支援サービスの充実の状況等を踏まえつつ、軽度の要介護者に対する生活援助や、訪問介護・通所介護以外の予防給付について、地域支援事業への移行や給付範囲の見直しを検討していくべきではないか。


○ 在宅サービスについては、事業者の自由な参入を引き続き認めていくことを前提とするのであれば、サービスの質を確保しつつ、確実に価格競争が行われる仕組みを構築するべきではないか。


○ 負担の公平性を確保する観点から、利用者負担の更なる見直し、介護納付金の総報酬割の導入などについて検討していく必要があるのではないか。

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