2018年度介護報酬改定に向けた財務省の温度感

2018年度介護報酬改定に向けた財務省の温度感を把握しておきましょう。

2015年財政面に関する国の今後の方針について検討を進めてきた財政制度等審議会・財政制度分科会。

本会の議論の整理としてまとめられた報告書「財政健全化計画等に関する建議(平成27年6月1日)」は、今後の各種政策に大きな影響を及ぼしてくるものと思われます。


国は2020年度(平成32年度)までに、「国・地方の基礎的財政収支の黒字化」(=税収・税外収入と、国債費[国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用]を除く歳出との収支の黒字化)を目指しており、その目標を大義に、社会保障分野についても「健全化」の名のもとで様々な改革が実施されることでしょう。


平成27年度報酬改定が施行されたばかりのこの時期ですが、次にどんな波が来るのかを早めに予測しておくことは、介護経営にとって、とても重要なことだと言えます。それらの背景から、今回の事務所通信では、同報告書の中から「介護」に関係する部分をピックアップして皆様にお伝えしたいと思います。


(今後5年間は、国民皆保険を維持するため、①公的保険給付範囲の見直し、②サービス単価の抑制、③負担能力に応じた公平な負担に係る制度改革を集中的に行う必要がある(23p))



(人が日常生活で通常負担するようなサービス・金額について、公的保険給付の範囲を見直し、全体として公的保険を真に必要な場合に重点化していく必要がある。

この公的保険給付の範囲の重点化は、保険給付額を抑制して制度の持続性に貢献すると同時に、公的保険から外れた市場を産業として伸ばしていくことにより、経済成長とも整合的であり、社会保障の雇用・成長市場としての側面を損なわずに社会保障改革を進めることができるメリットがある(24p)。)



そのための具体的な案として、

((その1)軽度者(=要介護2以下)に対する掃除・調理などの生活援助サービスや、福祉用具貸与等は、日常生活で通常負担するサービス・物品であり、また、原則1割負担の下で単価が高止まりしている可能性がある。

公的保険給付の重点化、競争を通じたサービスの効率化と質の向上を促す観点から、原則自己負担(一部補助)の仕組みに切り替えるべきである(26p)。


(その2)軽度者に対する通所介護等のその他のサービスについては、提供されているサービスの内容に鑑み、人員や設備基準の規制を緩和して地方公共団体の裁量を拡大しつつ、地方公共団体の予算の範囲内で実施する枠組み(地域支援事業)に移行すべきである。

これにより、地域のニーズに応じて、メリハリのある介護サービスが提供されるようになるとのメリットがある。)



そして、介護経営に大きく影響を及ぼすものとして、同報告書には大きく以下の内容が示されています。


(我が国の介護保険は幅広く要支援者・要介護者を対象としており、軽度者(要支援・要介護1・要介護2相当)に対する給付が約4割を占めているが、公的な介護保険制度のある主要な国であるドイツ・韓国においては、保険給付の対象は中重度者(要介護3~要介護5相当)である。)



(今後の制度の持続可能性や保険料等の負担を考えると、大きなリスクに対応するとの基本的考え方に沿って、質を確保しつつ、給付範囲を重点化していく必要がある(26p))



(医療・介護のサービス単価は診療報酬・介護報酬改定で定められる。

(中略)。

その際には、保険料を含めた国民負担増の抑制という視点が特に重要である。

また、公的保険給付範囲の抜本的見直しができず、幅広く公的保険でカバーすることを継続していく場合は、国民皆保険を維持するため、公的な保険給付の総量の伸びを抑制せざるを得ず、今後、サービス単価を更に大幅に抑制することが必要となる。(27p))



(診療報酬本体・介護報酬については、国民医療費や介護費は高齢化等の要因によって増加し、医療機関・介護事業者の収入総額は増加していくことを踏まえ、国民の保険料負担を含めた負担増の抑制の観点から、メリハリをつけつつ、全体としてはマイナスとする必要がある(29p)。)



(介護保険制度についても、現在、月額上限つきで原則1割負担・一定以上所得者2割負担となっているが、次期介護保険制度改革において、2割負担対象者の対象拡大を図ることや、月額上限(高額介護サービス費)について医療の高額療養費と同様の観点から見直しが必要である(30p)。)




上記建議はあくまで財務省としての見解であり、「国全体」の確定した意向となっている訳ではありません。

しかし、過去の議論の経緯を見ても、「国の財布の番人」とも呼べる同省の発言権は非常に大きく、その意味においては、我々介護事業者としても注視しておくべき報告内容だと言えるでしょう。

上記に掲げた全てが2018年に実施されるかどうか、という点については、現在のところ不明です。

上記が実行された場合、経営面で大きな変化を余儀なくされる介護事業者も数多く出てくるでしょう。

その意味では、「もし実行されれば自社の経営にどんな影響が出てくるのだろうか?」「それらに対し、我々はどう対応すればよいのだろう?」等々について、早めに頭を動かしておく必要があると言えそうです(今の段階では夢想レベルでも構いません)。

我々としても、更なる情報の入手や有効な打ち手・アイデアが見え次第、皆様にどんどん情報を発信してまいります。

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