「介護離職ゼロ」実現に向けた具体的切り口

「アベノミクスは第2ステージに移る」という宣言のもと、2015年9月24日に発表された「新・三本の矢」。

従来の「三本の矢」は「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」の3本柱でしたが、今回の「新三本の矢」は、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」)「安心につながる社会保障」の3つが柱となっています。

中でも、私たち介護事業者が注目すべきは、3つ目の「安心につながる社会保障」。

本テーマには、「介護離職ゼロ」という具体的目標が示されており、この目標実現の為の具体施策が11月26日に発表されました。

今後の介護経営に大きな影響を及ぼしてくる可能性も高い、という視点から、今月のニュースレターでは、この「介護離職ゼロ」実現に向けた国の具体策について確認しておきたいと思います。


国が示した「介護離職ゼロ対策」は6つの大項目に分かれており、そこから更に詳細項目に細分化されています。今回は、その中から、特に介護事業者に特に関係がありそうな内容として、17個の詳細項目を取り上げました。では、一つ一つの内容を確認していきましょう。

高齢者の利用ニーズに対応した介護サービス基盤の確保

2020 年代初頭までに、介護サービスが利用できずやむを得ず離職する者をなくすとともに、特別養護老人ホームに入所が必要であるにもかかわらず自宅で待機している高齢者を解消することを目指し、現行の介護保険事業計画等における約 38 万人分以上(2015 年度から 2020 年度までの増加分)の整備加速化に加え、介護施設、在宅サービス及びサービス付き高齢者向け住宅の整備量を約 12 万人分前倒し・上乗せし、約 50 万人分以上に拡大する。【特に緊急対応】



⇒現状では「特養の整備」を中心に取り上げられていますが、12万人分の上乗せには、施設のみならず「在宅サービス」「サービス付き高齢者向け住宅」等も含まれていることに要注目です。


用地確保が困難な都市部等において、賃料減額といった国有地の更なる活用や用地確保に係る負担を軽減するための支援を充実させ、併せて施設に係る規制を緩和することにより介護施設等の整備を促進する。
複数の介護サービス基盤の合築等による規模の効率性を働かせた施設整備や既存資源を有効活用するための建物の改修を支援する。【特に緊急対応】


⇒「施設に係る規制を緩和」というのは、具体的には、今、示されているような案「賃貸物件でも特養運営可能」というような施策だと理解出来ます。以降もどんな規制緩和策が出てくるのか、要注目です。


次の二つについては、現時点では目を通しておくだけで十分かと思います。


介護する家族の就労継続への支援に効果的な介護サービスの在り方等を的確に把握するための調査手法の開発及び自治体による調査の実施により、第7期介護保険事業計画策定への活用を図る。【特に緊急対応】

サービス付き高齢者向け住宅の整備を加速する。加えて、当該住宅に併設する地域拠点機能の整備も支援する。【特に緊急対応】


続いて、2つめの大項目です。

求められる介護サービスを提供するための人材の育成・確保、生産性向上

介護人材の確保を図るため、離職した介護職員の再就業支援、介護福祉士を目指す学生等への返還免除付き学費貸付の大幅な対象拡大、キャリアパスの整備を行う事業主に対する助成の拡充などを行う。【特に緊急対応】


⇒事業者としては「キャリアパスの整備を行う事業主に対する女性の拡充」に要注目です。合わせて、現在、あり方について再度見直しが図られている「キャリア段位制度」の動きにも意識を向けておいた方が良いでしょう。


次の内容も、現時点では目を通しておくだけで十分かと思います。


介護人材の離職防止のため、介護機器企業の育成支援などにより介護ロボットの活用を進め、介護人材の負担軽減を推進する。また、介護事業の生産性向上のため、ICT の活用や作成文書の削減・簡素化による文書量の半減など、事務負担の軽減を推進しつつ、業務プロセスの改善を図る。

介護する家族の不安や悩みに応える相談機能の強化・支援体制の充実

介護が必要になったときに速やかにサービスの利用ができるよう、国及び自治体において、介護保険制度の内容や手続きについて住民への周知徹底を図る。


⇒地域包括支援センターの役割がますます多くなってくる、と理解しておくべきですね。


次の内容も、現時点では目を通しておくだけで十分だと思われます。


介護に取り組む家族のための総合的な相談機能を地域・職域を通じて強化する。また、介護と仕事の両立についても、地域包括支援センターにおけるケアマネジャー(介護支援専門員)が助言できる体制を整える。さらに、ボランティア等による認知症の人の居宅訪問や民間による見守りサービスの育成・展開など家族に対する支援を推進する。


以降、3つの大項目についても、介護事業者としては、現時点では「知識」として、目を通しておくだけで良いと思われます。

介護に取り組む家族が介護休業・介護休暇を取得しやすい職場環境の整備

介護休業を利用しやすくするため、対象家族 1 人につき 93 日取得することが可能な休業を、分割取得できるよう制度の見直しを検討する。また、介護休暇について、より柔軟な取得が可能となるよう検討する。

介護休業の前後で所得を安定させるため、介護休業給付の給付水準(40%)について、育児休業給付の水準(67%)を念頭に引上げを検討する。

元気で豊かな老後を送れる健康寿命の延伸に向けた取組強化

国の医療データベースの基盤を整備・強化するとともに、レセプトを分析して個人に対する健康指導等を行う先進的なデータヘルスの取組の全国的な横展開を通じて、生活習慣病等の重症化予防など、民間のノウハウを活用した健康寿命の延伸に向けた取組を推進する。

個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを付与する取組の拡大等の目標達成のための支援を行う。

高齢者の低栄養、心身機能の低下の予防のための保健指導等を推進する。

市町村の効果的な介護予防等の取組の先進事例の横展開を推進する。

生きがいを持って社会参加したい高齢者のための多様な就労機会の確保、経済的自立に向けた支援

高齢者向けの仕事の紹介機能を強化するため、高齢退職予定者のマッチング支援を行う。また、シルバー人材センターの「臨時的」・「短期的」・「軽易」という業務範囲限定の要件緩和など、地域の実情に応じた高齢者の社会参加を促進するための制度の見直しを検討する。

高齢者が安心して働き続けられる環境を整備するため、高齢者が働きやすい環境をつくる企業、NPO や起業を支援するとともに、雇用保険の適用年齢の見直しを検討する。

高齢者が多世代と交流しながら活躍できる地域づくりを進めるため、生涯活躍のまち構想について、必要な法制を含め制度化を検討する。


現時点ではまだまだ大きな切り口の話が中心になっていますが、これらはいずれ、具体的施策として介護事業者の経営に様々な影響を及ぼしてきます。

その意味でも、特に自社に影響を与える可能性が高いと感じられる内容については、現段階からしっかりと頭に入れておき、事前準備(具体的アクションだけでなく心の準備も含む)、並びに、更なる情報集のための感度を高めるべく、アンテナを張り巡らせておくことを強くおススメします。

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