介護ロボットの動向・国の温度感を理解しておきましょう

「介護ロボット等導入支援特別事業」に申込が殺到

介護職員の負担軽減や業務の効率化の推進を背景に平成27年度の補正予算として52億円が確保され、「1施設・事業所につき10/10助成(=購入額の満額を助成)で上限額300万円」という破格の条件がついた「介護ロボット等導入支援特別事業」。


厚生労働省によると、この特別助成を申請した事業者は予想を遥かに上回り、なんと、用意していた予算52億円を4倍程度上回る申し込みがあったそうです。


そのため厚労省は、1施設・事業所あたりの上限額を「上限300万」から3分の1以下の「92万7000円」にまで減らす対応を決定。


実際にロボットを取り入れている介護の現場を増やすことも重視し、「薄く広く配る」方針に転換しました。


今回の特別支援で全国5,475の施設・事業所に新たに導入されることになるこの「介護ロボット」。


今回はこれらの動きを含む形で、「ロボット」に対する動向や国の温度感についてお伝えしたいと思います。

介護ロボットの市場予測・動向

2013年度から国家プロジェクトとして始まった「ロボット介護機器開発・導入促進事業」。


2014年度までは経済産業省、2015年度以降は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が事業主体となり、介護ロボットの実用化と製品化を目的に多くの企業が参画し始めました。


リサーチ系大手(株)矢野経済研究所の調査結果によると、2015年度の国内介護ロボットの市場規模(メーカー出荷金額ベース)は10億7,600万円。


前年比で見ると、何と549.0%(=約5.5倍)の伸びとなっています(ちなみに2014年度の市場規模は1億9,600万円だったそうです)。


国の事業による新製品の投入と様々な企業の新規参入が進み、歩行器など屋外での移動をサポートするロボットの製品化・実用化の推進が市場成長に大きく貢献したようです。


このトレンドは2016年度以降も続くと予測されており、2020年度の国内介護ロボット市場規模(メーカー出荷金額ベース)は驚くことに、149億5,000万円に達するとまで予測されています。

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分野別にみると、製品化もしくはその目途がついている装着型/非装着型移乗介助ロボット、屋外型移動支援ロボット、介護施設型見守り支援ロボット等については、2020年度までに一定の市場が構築される見込み。


その他、排泄支援ロボットは既に製品化されている自動密着式便器型の製品に加え、今後3タイプの新製品が投入される見込みが既に立っているそうです。


また、在宅介護型見守り支援ロボットは開発事業が終了し、今後、新製品の投入を積極開始。離床だけでなく、転倒などの危険状態の検知ができるロボット等、一人暮らし世帯での普及が見込まれています。


同時に、屋内型移動支援ロボット、入浴支援ロボットも2016 年度まで開発事業が継続され、2017年度以降に新製品の発売が始まる可能性も大。


屋内型移動支援では自宅トイレの利用、介護者1名での入浴介護が可能となり、これまでにない製品として新規需要の創出も期待されています。
(以上、(株)矢野経済研究所発信のプレスリリース(2016年6月30日付)を参考に情報を抜粋)

「環境適応」をキーワードに柔軟な発想を!

他方、2016年6月2日に閣議決定された国の羅針盤「日本再興戦略 2016―第4次産業革命に向けて―」には、ロボット等を始めとする先進テクノロジーと介護現場の関わりについて、次のような文言が躍っています。



行政が求める帳票等の文書量の半減に向けて取り組むとともに、現場のニーズを反映した使いやすいロボット等の開発支援やロボットやセンサー技術の介護現場への導入を更に進める。


また、ロボット等の導入による介護現場の生産性向上などのアウトカムデータの収集・分析を行うため、実証を行うフィールドを早急に決定し、本年度中に事業を開始する。


そこで得られるデータの収集・分析結果を踏まえて、介護現場でのイノベーションや創意工夫を引き出すインセンティブの視点も考慮しつつ、介護現場の負担軽減に資する形での、介護報酬や人員配置・施設の基準の見直し等の対応も含め、制度上、ロボット等を用いた介護について適切に評価を行う方針について検討し、来年度中に結論を得る。(日本再興戦略 2016より抜粋。P71参照。)



事業者としては特に後半のくだり「介護報酬や人員配置・施設の基準の見直し等の対応も含め」が気になるところかもしれません。


「来年度中(=2017年度中)に結論」ということは、次回(2018年4月)法改正に反映される可能性も高い、と理解しておいて差し支えないでしょう。

今こそ、介護経営者自らの「環境適応」が求められる時

事業者の方の中には、“ロボット”という誤解されやすい言葉の響きも含め、「介護は人対人でなければ出来ない仕事。


ロボットなんかに任せられるはずがない」という感覚をお持ちの方もまだ相当数いらっしゃるのではないか、と思います。


しかし上記の通り、世の中は国策的視点も追い風となり、大きく動き始めていることも事実です。


今後、介護経営者には、大事にしたい想い・こだわりをしっかりと認識する一方で、自らの脳内をどんどんアップデートさせつつ、「人対人でなければ出来ない、付加価値が高い“介護”を今以上に実践する時間や余裕を確保するために、或いは介護職員が心身共に、もっとやりがい・働きがいが感じられる職場づくりを推進していくために(=生産性の向上)、最新技術をどう活用するか」という、“環境適応”を基礎に置いた視点・発想がますます必要となってくるでしょう。


加えて、2016年7月20日に開催された自民党・厚生労働部会においては、「介護ロボットの普及を加速させるため、施設・事業所への補助金を上積みすべき」との声も上がっています。


是非、これらの情報をうまく活用し、経営者の皆様は「自社の現場をどう革新させるか?」について、思考を動かし始めていくことを是非、おススメします。

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